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映画マザー!(Mother!)のあらすじ・ネタバレを解説!差別や環境破壊のメッセージを読み取ろう!

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マザー!は文字通り母親です。主人公はジェニファーローレンスがマザーとなる話です。

マザーは日本でも公開中止になった問題作なので、今日はそんなマザー!を解説付きで紹介します。

 

映画マザー(Mother)!のキャストや評価

※括弧内は日本語吹替。

ジェニファー・ローレンス - マザー(沢城みゆき)
ハビエル・バルデム - 彼(大塚明夫)
エド・ハリス - 男性(菅生隆之)
ミシェル・ファイファー - 女性(高島雅羅)
クリステン・ウィグ - 使者
ドーナル・グリーソン - 長男(中尾智)
ブライアン・グリーソン(英語版) - 弟(益山武明)
ジョヴァン・アデポ(英語版) - 召使い
スティーヴン・マクハティ - 熱狂者

映画マザー(Mother)!のあらすじ(前半)

緑豊かな郊外の中にたたずむ一軒家。

ベッドの上で目覚めた若い女性(ジェニファー・ローレンス)は、年の離れた夫(ハビエル・バルデム)を「あなた」と呼んでいます。

詩人である夫は長いこといい作品が作れずにスランプ状態に陥っており、女性はそんな夫に「大丈夫よ」と声をかけながら献身的に支えていました。

平和な暮らしを送っていたそんなある日、夫婦の家に見知らぬ中年男(エド・ハリス)がやってきました。

夫の詩集のファンで今日の泊まる場所がないと困っている中年男を、あたかも夫は昔からの知り合いかのように快く迎え入れてしまいます。女性は二人だけの生活に満足していたのに、突然の来客に不安と不信感を抱きました。

その翌日、今度は中年男の妻(ミシェル・ファイファー)だという女性が夫婦の家に現れ、夫はこれまた快く迎え入れました。

中年男は余命がそれほど長くないらしく、最期に憧れだった詩集家に会いたかったことを告白しました。

女性は勝手に見ず知らずの人間を家に泊める夫に苛立ちながらも、壁にペンキを塗ったり、家の修繕をしたりといつもとかわらない家の修復を続けていました。

しかし、中年男の妻は夫婦に子供がいないことを厳しく問い詰めたり、夫しか入れない部屋に勝手に入ってしまったり、終いには夫が大事にしている美しい宝石を落として割ってしまうなどやりたい放題でした。

温厚な夫もさすがに堪忍袋の尾が切れ、中年男夫婦を家から追い出そうとしました。怒り心頭の夫は板で部屋を封鎖、二人は出ていくどころか勝手に寝室のベッドで楽しみ始める始末でした。

すると今度は中年男夫婦の息子兄弟(ドーナル・グリーソン、ブライアン・グリーソン)が夫婦の家を訪れ、父の財産相続を巡って骨肉の争いを繰り広げ、しまいには兄が弟を殴り殺してしまいました。

映画マザー(Mother)!のあらすじ(後半)

悲しみにくれる中年男夫婦は勝手に息子の葬式を始めてしまいます。

どこからともなく沢山の参列者が押し掛けてきて家の中を荒らし妻が大事にしていた家の修復した箇所をどんどん壊していきます。

特にキッチンの流しは常々壊れやすいので大事に修復していたにもかかわらず参列者のカップルが壊してしまい、台所は水浸しになってしまいました。

激怒した女性は全員を追い出しました。

ようやく平穏さを取り戻した夫婦はそのまま愛し合いました。

翌日、女性は自分が妊娠したことを確信、それにいたく感激した夫はスランプから脱したかのように創作活動に勤しみ、遂に待望の新作を完成させました。

完成した詩を読んで妻は歓喜の涙を流しました。

もちろん夫の詩集は大ヒットになりました。

時が流れ、女性の出産が近づいたある日、夫のファンだという者たちが大挙して夫婦の家に押し寄せ、勝手に家の中を荒らし始めました。

家の中は大混乱になり、いつしか家の中はタイムトリップしたように戦場のような激しい攻防が行われる場所となってしまいます。

何とか安全な場所に隠れた女性はその場で赤ん坊を出産しました。

女性は夫を許せず、赤ん坊を抱かせようとしませんでした。

しかし、いつしか眠ってしまい、女性が目を離した隙に赤ん坊は夫に取り上げられ、家に押し寄せた大衆に引き渡され、無惨にも殺されて食べられてしまいました。

激怒した女性はガラスの破片を手に取って大衆に襲いかかるも返り討ちに遭い、衣服を剥ぎ取られた挙げ句に売春婦呼ばわりされてしまい暴力を受けます。

遂に怒りが頂点に達した女性は、家の地下の隠し部屋に隠されていたオイルタンクに火をつけ、家は大爆発を起こして炎上、大衆は一人残らず焼け死んでいきました。

全身に大火傷を負い瀕死の女性の前になぜか一人だけ無傷の夫が現れ、自分の正体は“神”であることを告げると、女性の胸から心臓を取り出しました。

そしてその心臓は美しい宝石へと姿を変え、廃墟と化した我が家もみるみるうちに元の姿に戻っていきました。
ベッドの上で目を覚ました女性は、まるで何事もなかったかのように夫に呼びかけていました。「あなた」と。

 

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映画マザー(Mother)!のネタバレ解説

日本では公開中止となった問題作、マザー!

マザー!はアメリカでは評論家の間でも賛否両論ある作品に仕上がっており、その点でも話題を呼んだ作品です。

今回はそのマザーの示すメッセージや私なりの解釈を書いていこうと思います。

何も考えずに見てはいけない

まず言っておくとマザー!は普通の作品ではありません。

何も考えずに見ると、マザー!は展開は遅いし、支離滅裂だし、思った通りの展開にならないからとてもストレスを感じます。しかもマザー!のラスト15分は怒涛の展開であっという間に見ている人を置き去りにしてしまうのです。

これはマザー!がそのように作られた作品だからであり、DVD特典のコメンタリーでも監督が言っていたように、「マザー!は視聴者が期待する展開をことごとく裏切るし、やっと展開が読めてきたと思ったらまた、パターンから外れていく」ように作られているのです。

例えばマザー!であるジェニファーが一生懸命に家を作っているにも関わらず夫やそれ以外の来訪者が少しづつその邪魔をする。

ジェニファーはただ奇麗な家を作りたいだけなのです。

でもそれは他人が家に来ることで阻まれる。帰るところがない人や、息子を失うことに比べれば大したことではないかもしれないがそれは本人からすれば(視聴者にとっても)とてつもないストレスだ。

しかもマザー!のラストはあれよあれよという間にいつの間にか彼女が転生しているという展開に観客は唖然とする。

そんな映画の作りだからシネマスコアではマザー!はF評価を受けて2012年以来の最悪の作品とアメリカでは話題になったのだ。

だが、これはマザーが多くのメッセージを持って作られていることをユーザーに感じ取ってほしいからに他ならない。それを説明していきたいと思う。

マザー(Mother)!をどう見るといいのか

マザー!は何も考えずに見てはいけない。そのメッセージを感じなければならない。

他のレビューサイトとかぶる部分があるかもしれないが、マザーの伝えるメタファーを書いていければと思う。

そもそもマザー!がメタファーである理由の一つは登場人物にとことん名前がないことだ。

彼とか、あなたとか、女神とか、マザー!ではとにかく固有名詞が出てこない。これはマザー!という映画が何かの抽象的な概念上の話をしているということは想像に難くない。

ではマザー!は何のメタファーかと言うと主要メンバーで言えば

家…地球(世界)

ジェニファー・ローレンス - 母親 …聖母
ハビエル・バルデム - 彼 …創造主
エド・ハリス - 男性 …人間(罪)
ミシェル・ファイファー - 女性(高島雅羅)…人間(罪)

ではないかと思う。

そして、その他の登場人物はすべて人間(罪)であると言える。

他のマザー!を解説するブログでははじめに迷い込んできた男女がアダムとイブ、その兄弟で殺しあう二人がカインとアベルという風に説明しているが、私は聖書には詳しくないのでそこは割愛する。(水浸しのシーンは箱舟というが、それは少しこじつけではないかと思う。)

つまり、このマザー!は創造主が世界を作る中で聖母がそのコントロールをどんどん失っていく話といえる。

コントロールを失う聖母

私は聖書に疎いのでマザー!の説明は自分の言葉で説明しようと思う

創造主はまず聖母を作り、聖母はすべての命の源だ。

地球ですら「母なる大地」というくらいですから、ジェニファー=聖母=大地=地球=家なのです。

地球(この世界)に住む人々の命の源は聖母なのです。

その証拠に家の壁に耳を押し当てると心臓の音が聞こえましたよね。あれはこの映画のジャケットでジェニファーが心臓を差し出しているところを見るとつながっていると考え、彼女=家とつながるべきでしょう。

また、彼女が傷つくごとに家もどんどん荒んでいくのです。

兄弟の弟が死んだときに床に穴が開きました。その後水道管は破裂するし、最終的にはもはや戦争がはじまりました。

つまり、はじめは聖母はじっくりと時間をかけて完璧な世界(=家)を作ろうと張り切っていたのです。

ですが、人間(罪)が現れることによりどんどんその思惑は外れていきます。結果的に聖母は自分自身の家を焼いてしまうのです。

マンガ封神演義の女媧

マザー!を語るうえでマンガ封神演義を読んだことありますか?

女媧という異星人が自分のいた星とおなじ星をもう一度地球でつくろうと何度も何度も地球を作っては壊し作っては壊しということを繰り返していました。

まさにあれがマザー!の聖母と同じことではないかと思います。

女媧の元いた星では文明が発達しすぎてある日あっという間に滅びてしまいました。

そのミスを犯さないように理想の世界を作ろうとするものの、いつもどこかで歯車が狂って世界が滅びてしまうのです。

今回はジェニファー=聖母=女媧ですね。

 

創造主が伝えたかったこと

 では一方でマザー!の創造主は何のためにいるのでしょうか?

聖母がひたすらに世界をいいものにしようと作っていく傍ら、彼ははっきりいってどんどん新しい人(罪)を家に招き入れます。

私なりに一つの解は「赦し」だと思っています。

この「赦さなくてはならない」というのが何度も最後のほうで出てきます。

この世で誰かを赦すことができるのは神だけです。

つまり、ジェニファーはやってきては彼女の邪魔ばかりするウザい連中を「赦す」ことができなかった。これが問題なのです。

もう一つマザー!の中の登場人物を明らかにしておくと、ジェニファーが生んだ子供は間違いなく、キリストのメタファーだと思いますが、彼はすぐに愚かな人間により殺されてしまいます。

もっと言えば、戦争や宗教によりこの世界(家)をむちゃくちゃにし、挙句の果てに彼女に乱暴までします。ちなみに彼女への暴力は「環境破壊」だと思います。

それでも聖母は人間を赦さなくてはいけないのです。

赦せない結果、ジェニファーは落ちていたガラス片で何人も刺し殺しました。そして挙句の果てに家を焼いてしまい、自分もマルコ下人あってしまいました。

唯一彼らと生き残るには彼らを赦すしかなかったのです。

キリスト教ほど排他的な宗教はない

そろそろまとめるとマザー!はキリスト教信者への痛烈な批判だと思っています。

通常赦すことが教えのはずですが、キリスト教というのは基本的に排他的で自分たち以外は赦さない文化です。

そのため、イスラムであったり、別の文化を容赦なく攻撃しますし、それは中世の十字軍のころから変わりません。

いつか、相手を赦すことができない世界は必ず滅びる、そういうメッセージなのだと思います。

 

映画マザー(Mother)!に潜むエコフェミズム

さてもう一つ別の見方も紹介したいと思います。

それは本作マザー!が抱えるエコフェミニズムと言う考え方です。

これは監督本人がこれは環境破壊の作品だと言っていることにも起因することです。

 

 エコフェミニズムとはエコロジカルフェミニズムの略称でエコロジー(自然保護)とフェミニズム(女性保護)のを二つ足して作られた造語です。

これらはすなわち女性支配と自然支配という男性による支配の構造的関連を表しており、ともに共通点が多い項目として考え方としては同種のものとしてヨーロッパでは扱われることがあります。

つまり、真の意味で環境保護を考えるのであれば「外なる自然」への視点だけでなく「内なる自然(女性)」への視点、つまり女性の地位を上げていくことの重要性を説いているものです。

よくわからないですよね。

根本的な考え方は女性=自然、男性=文化や社会という二つの関係図があります。

つまり男性は、資本主義社会の生産者として「社会」や「文化」を構成する主体(=自然を搾取する存在)としての象徴であり、女性は搾取される客体として「自然に近づいていく存在」なのです。

そういう意味では女性は「内なる自然」であり、常に男性は女性を支配してしまうのです。

支配という言葉をもう少しいかえれば、それは「優越」です。

人間は常に「文化」や「社会」を自然よりも「優れた」もの(=優越)であろうとしてきました。

結果的に自然は社会や文化への劣位性や従属性を象徴するものとして機能してきました。

 作品に戻ると女性は常に家(自然や地球など)を作って、男は詩を作ってきました。

ここがすでに自然と文化に分かれていると思いませんか?

マザー!では女性は子供を生み、母乳を生産する能力を持っているが、男は自らの身体で生産をすることができず、ただ時が過ぎるだけでした。

女性は家を壊すこともできれば、家を作り直すこともできる存在です。男性はいっさい手伝うことはなかったですが、あれは手伝えないのです。

もっと言えば、女性は理性で物事を考えられません。理性は社会性や文化性が作った人間独自のものだからです。

女性は自然的な感情で動きます。だから理不尽な人たちの行動を受け入れることができないのです。

余談ですが、近代において進められた女性差別が女性の「主婦化」と男性の「労働戦士化」です。

すなわち女性を社会から孤立させ、育児労働へと縛りつけることで「出産機械」とさせる行為ですが、男性は女性と自然の「指揮者」として社会化される一方で、女性は「天然資源」として「自然化」されてきたのです。

本作でも女性は作品の後半で圧倒的に「置いていかれ」ます(多くの人が押し寄せてきて、戦争のような爆発が起きる場面です)。

男性中心の世界が進む中で彼女はただただ爆煙の中を右往左往するだけでした。

そして右往左往の中成し遂げたのはたった一つ「子供を生むこと」だけです。

つまりどんなに文明が進んでも彼女がやったことはそれだけ、という皮肉にも取れます。

マザー!がそこまでつっこんだ内容を示唆しているかわかりませんが、ジェニファーローレンス演じる彼女が不憫だと思ったのは女性がこれまで受けてきた迫害と自然が受けてきた破壊の行為に他ならないのだと思います。

映画マザー(Mother)!の最後に

多くのことを示唆しているマザー!はとてもストレスのたまる作品です。

それは人間の犯した罪の話なのか、それとも人間が自然や女性に与えてきた迫害の歴史の話なのか、いずれにせよ、気持ちのいい話ではありません。

人間の歴史はつらいことばかりではないのですが、この作品を見るとどうしても負の影響というのが目に見えてつらいですね。

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