人狼ゲーム・ビーストサイドのキャストとスタッフ
<キャスト>
土屋太鳳…横山由佳
森川葵…宗像美海
青山美郷…萬田麗子
藤原季節…平一也
加藤諒…小曾根正則
<スタッフ>
製作総指揮:吉田尚剛
監督:熊坂出
脚本:山咲藍
原作:川上亮(アミューズメントメディア総合学院 AMG出版/竹書房文庫)
エグゼクティブプロデューサー:永森裕二
プロデューサー:平体雄二/飯塚達介/宮田幸太郎
人狼ゲーム・ビーストサイドの評価
★★★☆☆
人狼ゲームの映画1作目と打って変わってかなりの改善が見られる作品。
相変わらず役者は合格の域の演技をしながら、カメラワーク、音響はレベルが低いものの、脚本が大幅改善されている点でかなり評価ができます。
Yahooレビューでも本作のレビュー投稿数は同シリーズの中でもトップクラスの数ですから、それなりに皆さん反響を呼んだ作品ではないでしょうか。
まだ無名だったころの土屋太鳳が躍進した作品でもあります。
詳細はネタバレレビューで紹介します。
人狼ゲーム・ビーストサイドのあらすじ
見知らぬ10名が見知らぬ土地で目を覚ましました。
廃屋の学校で彼らはビデオにうつされたルールに従って人狼ゲームをすることになります。
横山由佳(土屋太鳳)は人狼のカードが与えられて、うんざりしていました。彼女はもうすでに何回かこのゲームに参加していたのです。
彼女は自分の夢であるロックンローラーになるために、絶対に生き抜くという覚悟がありました。それは同時に他人を殺してでも生きるという絶対的な意思でした。
前作から占い師、 用心棒、共有者の役職が加わり、ゲームの難易度は上がっています。
ゲームが進行するにつれ、全く予測できない出来事が起き、その中で果たして由佳は生き残ることができるのでしょうか。
人狼ゲーム・ビーストサイドのネタバレレビュー
第1作目に引き続きひどいカメラワークと音響は継続しています。
一方で脚本は大幅に改善され、見どころがポツポツと出てきました。
今回はそんな、本策の見所を解説します。
人狼のルールに沿った知略
人狼に加えて、用心棒や共有者など多彩な役職が追加されたことで物語りがより複雑なシナリオになりました。
加えて、脚本がより実際に人狼に近い知力やロジカルな戦略で進行するようになっているので、人狼が好きな人にはかなりいい印象を与えたはずです。
特に、最後の宗像が横山を追い詰めるシーンは理詰めでロジカルで見ていたかなりよかったです。
たぶん、脚本家がしっかり人狼を体験したんだと思います。
人狼ゲームを超えるリアルさ
さて、そんな人狼ですが、単にゲームの行方を追うだけであれば何もわざわざ映画にする必要がありません。
しかし、映画にして「もし現実世界で人狼が行われたらどうなる?」というこの設定を見事にあらわしたのが本作です。
通常のカードゲームの単純なロジカルな戦法に加えて、人を殺害するときに残してしまう物証や、人の感情(あいつは嫌い、あいつは好き)という不協和音が入ることにより、人狼ゲームは面白さが増します。
実際の人狼ゲームでも必ずしも人はロジカルに動かないのです。
天然や頭の回らないやつもいるので(すいません;)、実はみんなが思っているほど世の中はロジカルに回りません。それが本作ではよりリアルに感じられるわけです。
まさにこれこそ人狼ゲームを映画化する理由ではないでしょうか。
テーブルゲームで人狼ゲームをするときは「ローラーで一人づつ消していこうぜ!」なんて平気でいいますが、もし現実ならローラーされるほうはたまったもんじゃありません。
そこのリアルさが本作には感じられるため、きわめて優秀な作品といえるでしょう。
まだまだいまいちな面も
まだまだ、役職を使い慣れていないところや、バカなやつ(すいません;)がいるせいでゲームが乱れています。
もっと知略戦略のあるゲームに不協和音が入るすばらしい音色を今後の作品に期待します。
そして、何より相変わらずのカメラワークと音響のひどさには恐れ入ります。
人狼ゲーム・ビーストサイドの疑問を解説(ネタバレ)
さて、今回の人狼ゲームの謎を整理していきたいと思います。
なぜ2日目で伊勢は榎本が狼だと嘘を言ったのか
伊勢は榎本と付き合っており、彼女には子供ができており、大学にいって遊びたいと思っていた伊勢は、この機会に榎本が死んでしまえばいいと目論んでいたからです。
なぜ1日目の夜に用心棒の対馬は榎本を守らず、小曾根を守ったか
これは明確に種明かしはされていません。
ですので予想をいくつか。
案①対馬の感情的な判断
案②共有者を守っても仕方ないと思った
案③戦略的に裏をかいた
①は対馬の個人的感情論ですね。
後半で対馬が預言者である藤堂を守らなかったのは自分にちょっかいだしてくるのがイヤだったからです。
この件からも対馬は勝敗よりも感情に左右され、判断する人間だとわかります。
そのため、スクリーン上でほとんど声を発しない彼女の真意はわかりません。
榎本はスタンドプレイが多くウザそうですし、小曾根はキャラ的に憎めないので、とりあえず狼じゃないと思いこんだ可能性はあります。
そして案②が個人的には一番あると思っています。
自分も人狼をよくやりますが、共有者は正直守ってもしょうがないのです。それよりも間違って預言者や重要な役職が死ぬほうが痛手です。
もしあなたが人狼だったら、共有者を殺しにいくよりも初日でいちかばちか預言者を狙い撃ちしますよね?
ですので、実は対馬の判断は正しいわけです。結果的に人狼の攻撃を防ぐわけですから。
案③も実は実際の人狼ゲームではよくあることです。一人だけ役職持ちであることがバレている場合は敢えてその人を守らないという選択肢があります。
あなたが人狼だとします。
一人だけ役職持ちがばれていて、その人が、用心棒さん守ってください!と言っているとします。わざわざその人を人狼は攻撃するでしょうか?普通に考えれば用心棒が守ると考えるため、とにかく村人を減らすために用心棒と別の人を狙うのがセオリーです。
逆にそれを逆手に取って、敢えてその人が用心棒が守らないというケースはあります。
裏をかくのです。
小曾根はなぜ伊勢を狼と言ったのか
小曾根の発言から榎本のことが好きだったと考えられます。部室で伊勢が榎本の子供を妊娠していることを知って、さらに伊勢が妊娠を悲しむそぶりをしたのが許せなかったと考えられます。
そのため、小曾根は占い師のフリをして伊勢をはめようとしたのです。
用心棒はなぜ藤堂を守らなかったのか
対馬は用心棒でした。占い師の藤堂を守ることができたはずですが、守りませんでした。
これは度重なる藤堂からの嫌がらせを受けていたことにうんざりしていた対馬は藤堂に死んでほしかったと考えられます。
宗像が横山を人狼と思った決め手
決め手①最初は宗像を守ったと言うが、なぜ横山は宗像が人間だと確信していたか(通常は人間を適当に守るにしろ、人間と明らかにわかっている人を守る。宗像がはじめから村人だと知っていたのは現時点では人狼のみだから)
決め手②3人になった時点で宗像に自分が用心棒だと打ち明けられたはず。(なぜなら本当に横山が用心棒に成功していたのなら100%宗像は人間だから)
役割分担の答え合わせ
最終的な役割は以下の通りになります。
人狼 横山由佳 萬田麗子
用心棒 対馬瞳
占い師 藤堂由紀彦
共有者 榎本亜希子 平一也
一時期私は伊勢が用心棒だと思っていたフシがありますが、結局対馬でした。
人狼で勝つセオリーは「しゃべらないこと」というのがばっちり証明されてしまうゲームでした。
人狼ゲームの勝敗はどこで決まったか
ここからはこれは勝手な議論ですが、正直今回は人狼が圧倒的不利だと思っています。それにしても横山はじめ人狼チームか大健闘したのは村人チームの愚策のせいです。
村人チームの失敗を見て行きましょう。
占い師である藤堂が寝過ごした
これは致命的です。
村人にとって霊媒師や別の人狼を暴く手段がないので占い師だけが頼りの綱なのです。
少なくても1ターン早く勝負が決まっていた可能性はあります。
共有者がはじめに名乗り出なかった
実は最も致命的なミスがこれです。
榎本が共有者は一人だけ名乗り出て、もう一人は名乗り出ませんでした。そのときに榎本はこう説明しています。
「もう一人は敢えて名乗り出ない。なぜなら狼が共有者に成りすまして名乗り出たらそのときに嘘を見破ることができるから」と。
でもこれは絶対にありえません。
考えてみてください。
共有者は二人いて始めて価値があるのですが、どちらかが欠けたら存在価値がありません。
榎本が説明したとおり、人狼が共有者を名乗ったら絶対にばれます。
そのため、人狼が共有者を名乗ることはほぼ100%ありません。そのため、共有者はまず1ターン目に名乗り出ることが必須なのです。
大勢のいるケースでは狼二人が共有者を名乗るケースはありますが、今回のように狼二人で共有者を名乗るのはリスクが高すぎますのでまず、間違いなく、共有者ははじめに名乗り出て、人狼の候補から外れるべきなのです。
逆に言えば榎本が死んだ時点でもう一人の共有者は役職のメリットを失います。
人狼は基本ローラー(疑わしきは罰していき、勝ち残る)ゲームなのです。これが今回の致命的なミスだといえます。
人狼ゲーム・ビーストサイドの最後に
人狼ゲームの映画はつまらないといっている方はぜひ本作から見ることをおすすめします。次から狐だったり、狂人だったり、より難しいルールが出てきますので本作でまずはしっかり人狼の基本を抑えることをおすすめします。