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【ネタバレあり】インセプションのあらすじと疑問を徹底解説!ラスト結末はハッピーエンドか?

インセプション

インセプション

 インセプションの評価

★★★★★

 重厚サスペンスの巨匠クリストファーノーラン監督の作品です。

さすが、という一言に尽きます。映像、音楽、ストーリー、キャラクターどれをとっても超一品。

映画の面白みをすべて持っている作品の一つだと思っています。

 文字通り「まるで夢の世界」のような大興奮+少しもの悲しい映画です。

インセプションのあらすじ

コブは産業スパイで、ターゲットの夢に入り込みアイデアを抜き取る仕事をしていました。

コボル社の依頼に基づき、日本人のサイトーに近づきエクストラクトをしていましたが、失敗に終わります。

その後サイトーが要求してきたのは新たな仕事ん依頼でした。

それはライバル会社の次期社長であるロバートフィッシャーの頭の中に入り、父親の帝国を解体させるようにインセプション(考えを植え付ける)させることでした。

 サイトーは報酬としてコブの犯罪歴を抹消することを約束し、コブは仕事を引き受けます。

コブは今回の難しい仕事のために相棒のアーサーだけでなく、新たなメンバーを探します。

設計士のアリアドネ、偽装師のイームス、調合師のユスフを入れた5人でロバートへのインセプションが始まります。

作戦は、ロバートに「父親の跡を継ぐのではなく、自分で新しい道を切り開く」という考えを植え付けるもので、それを父からの遺言のように見せかけるものでした。

 作戦通りにいくかと思った矢先、ロバートのエクストラクトを阻もうと潜在意識の武装化がコブたちを襲い、サイトーが負傷してしまいます。

インセプションのために強力な鎮静剤を打っているため、死んでも現実世界に戻ることはない、ということに驚きと絶望を感じるイームスたちですが作戦を続行します。

作戦が進むに連れてアリアドネはコブには潜在的な精神に何かあることに気づきます。それは過去コブが自らの過ちで自殺に追い込んでしまった最愛の妻モルが関係しているのでした。

インセプションのネタバレ解説

クリストファーノーラン監督のSF大作インセプションです。

私もインセプションは3回見ていますが、それでも理解できている部分とできていない部分があります。

ここでは理解の難しいインセプションを少しづつ整理して解説していきます。

インセプション独特の世界観

インセプションの世界では他人の夢の中に侵入することで、その人の持っている秘密を盗み見たり、また他人の深層意識にアクセスすることで他人にある考えを植え付けたりすることができます。

インセプションの用語解説

インセプションは独特の世界観と同時に独特の用語を使っています。その一部を解説したいと思います。

エクストラクトとは

他人の夢の中に入り、秘密や情報を盗むことです。

一番初めにコブがサイトーに仕掛けたものがエクストラクトです。

インセプションとは

この映画の題名にもなっているインセプションとは、他人の夢に入り込みある考えを植え付けることを指します。

通常はこのようなことは行われなくアーサーも経験がないことでした。

コブだけはこのインセプションを過去にモルに行ったことがあります。

キックとは

夢から帰ってくる時のアクションのようなものです。

要は起こす、ということなのですが、複数階層に今回潜るにあたり強力な鎮静剤を配合されているので、衝撃+落下などが選ばれています。

トーテムとは

各人が持っている現実か夢かを判別するためのものがトーテムです。

コブは駒を持っておりそれが回り続ければ夢だと判断します。

アーサーはいかさまサイコロを持っていました。

潜在意識の武装化とは

著名人や政財界の重要人物は自らの秘密をエクストラクトされないように潜在意識に防衛のための武装化を仕込んでいます。

ロバートの意識に潜入したときに武装した奴らに襲われたのは無意識にロバートを守るために設置されたものでした。

虚無とは

虚無(limbo)は通常の夢の世界や現実世界とは別の潜在意識の奥深くにある場所です。

作中ではあまり説明がないのですが、通常のエクストラクトやインセプションでは夢の中で死ぬと現実世界に戻されますが、今回のように強い鎮静剤を使っている場合、簡単には目覚めず意識が虚無に落ちてしまうのです。(=肉体に精神が戻らないので植物状態になる)

ここから推察するに虚無は精神の牢獄のような場所で、そこでは崩壊し続ける世界でとても不安定です。そこから抜け出すには、その世界が現実でないという認識が必要です。

(非常に曖昧な概念で、正直インセプションの映画内での説明だけでは辻褄を合わせることが難しい概念です)

インセプションの重要な前提

インセプションの世界の重要な前提を整理します。

設計士は重要

 エクストラクトにしろインセプションにしろ、設計士はとても重要です。今回はアリアドネが担当しました。

ターゲットに自分が夢の中にいると気づかれては困るので、設計士が作り上げる世界はより複雑でより精密でなければなりません。(サイトーを騙そうとした世界ではち密さに欠けたためバレてしまった)

また、見たことのある場所を設計することはだめです。なぜなら記憶の場所を設計すると現実との境界線があいまいになるからです。

 実際モブは自分の生家などを再現(最後の虚無の世界にあった一軒家)したことで夢の世界を現実だと誤認しはじめました。

儀装師で相手を騙す

相手にある種のインセプションを与えるには偽装師を使います。

今回はイームスが担当しましたが、色々な人間に化けることによってロバートを父親と和解させる方向へ誘導していきました。

偽装師は夢の中では実在の人物にも実在しない人物にも化けることができます。

夢の中でさらに他人の夢に入れる

ここで分からなくなる人が多いのですが、インセプションの世界では夢の世界からさらに別の夢の世界に入ることができます。

夢を見る人をドリーマーといいますが、ロバートを騙す作戦の時には、まずユスフの夢の中(LAの街)に入りました。そして、その後、アーサーの夢の中(ホテル)に入り、さらにイームスの夢の中(雪山)に入っていきます。

 このようにどんどん他人の夢に入ることで複数のシーンで同一人物が活動しているように見えます。さらにこれを可能にしているのが時間の進み方です。

夢の時間は現実時間の20倍

さらにややこしいことに、夢の世界は現実世界よりも20倍ゆっくり進みます。現実世界での10時間が夢の第1階層では1週間、第2階層では6か月、第3階層では10年になります。

映画後半で第1階層でゆっくり車が川へ落下している間も第3階層では激しいバトルが繰り広げられているのはこのせいなのです。

インセプション疑問①モルの死の真相

モルが死んだのは自殺でしたが、そのきっかけを作ったのはコブによるインセプションでした。

コブとモルは夢の中で完璧な世界を作り上げていましたが、コブは現実世界の子供たちのためにも夢から出る必要があると思っていました。

しかし、夢と現実の境目があいまいになっているモルは聞く耳を持たず、コブは仕方なく「ここは現実ではない」というインセプションを行い、見事モルを現実に引き戻しました。

しかし、その反動からかモルは現実に対しても「ここは現実ではない」と思い込むようになり記念日の日、「現実に戻らないといけない」と言って、ホテルから飛び降りたのです。

インセプション疑問②コブの邪魔をするモル

コブが夢の中にいるときモルはコブを邪魔するように現れます。

これはモルを殺してしまった罪悪感がコブの潜在意識として投影されているからです。

罪悪感の投影故に、コブはモルを見ても殺すことができません。

インセプション疑問③「528491」という数字

 ロバートが監禁されていた時、モーリス・フィッシャーの金庫の鍵6桁を尋問されます。そんな金庫は現実には実在しないのでロバートが番号を知っているわけもなく、ロバートが一番はじめに言った数字が「528491」でした。

これは監禁されているブラウニングが「何か関係ありそうな思いつく数字はないのか?」と言われ咄嗟に出た数字で何を表す数字なのかは不明です。

 ですが、その後もバーで女性に渡された電話数字やほホテルの部屋番号が「528」「491」だったことから徐々にロバートの中で既視感のある数字となり、ラストで自然と528491で金庫を開けることができたのでした。

インセプション疑問④なぜサイトーは年をとったか

虚無に落ちたコブは年を大きくとったサイトーに出会います。

コブに比べて彼が年を取っていた理由は明示されていませんが、コブはマシーンを使って意図的に虚無に下り、サイトーは強い鎮静剤を撃ったときに夢の中で死んでしまい虚無に落ちたという違いがあるのでそこが時間の進み方に影響を及ぼしたものと思われます。

また、虚無の世界では「ここが現実世界でない」という自覚が重要になっていますが、死んで落ちたサイトーはその意識がないため大きく年を取ったものと推察されます。 

ラスト結末の解説

 インセプションの中で最も重要なのはラストの解釈です。

駒を回すコブに対してそのコマが倒れるかどうかの顛末がカットされ映画は終わります。明らかに「視聴者に判断は任せます」というような展開で、2つの見方ができます。

ラストコマが止まる結末

コマが止まる=現実世界、ということなのでコブは現実世界に帰ってきたといえます。

 サイトーとの当初の約束通り、入国審査をクリアし、家に帰ってきたコブは子供たちと再会します。

この説は以下を根拠にしています。

コブの指輪

コブは夢の世界ではモルへの執着から指輪をしています。

しかし、ラストでは指輪をしていませんでした。

子供の服装

作中何度も登場する子供たちとラストで再会した子供たちは服装が微妙に違うことがわかります。

例えばお姉ちゃんはピンクの服を着ていましたが、ラストでは下に白い服を着ていました。

さらにエンドクレジットを見ればわかりますが、作中の子供二人とラストの子供二人は役者さんが違う役者です。

これは夢の中の二人ではなく現実の二人であることを示しています。

ラストコマが回り続ける結末

 コマが回り続ける=夢の世界ですのでコブは結局現実世界に帰還することができなかったと考えられます。

 サイトーに戻ろうといったあと、結局サイトーも戻らず自分も夢の世界に戻ったとも考えられます。

こちらの根拠としては子供が成長していない、部屋の家具の配置などが変わっていないなど、やはり夢の中で見た世界の延長にしか見えないと感じるところが最大の理由になります。

さらに考えようによっては実はモルが正しくて、実はコブが現実と思っている世界こそすでに夢であるという可能性も否定はできません。(そうするといわゆる夢オチで見ている側としてはがっかりですが)

 いずれにせよ悲しい結末であることに変わりなく、視聴者としてはあまり期待していない終わり方ではないでしょうか。

 

最後に

クリストファーノーラン監督はこのインセプションのラストについては「最後コブのコマが倒れるかどうかは重要ではなく、コブがコマを見ずに子供たちに駆け寄ったことが重要だ」とコメントしています。

夢であろうが、現実であろうが目の前の幸せに気付くべきであるというメッセージでしょう。

でもそうであれば「そもそもコマを回す必要があったのか?」というのが個人的感想です。最後は議論を呼ぶべき論点でない、とすればもう少し違った終わり方もあったのではないかと、このレビューを書きながら思う今日この頃です。